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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter42 『向こうとこちら』 42-5


(得意げに述べた榊の言葉に。
小太りの大臣は、ため息をつき。 呟いた。)

「榊・・、またあの子供の話か?

そんな大層な能力者には見えんがな・・。」

「今回の全体会議も、子供を監視下から外したとか何とか。

そんな警告が出ていたが。」

「つまりは、子供の家出だ。

国家公認の能力者だからといって、家出ごときで、一々呼び出され。

首相の機嫌を損ねるなど・・。

もっての他だ・・。 実にくだらん。」

トットッ

(黒い石の廊下を進む一行の前に、
一人の。 ひょろ長い人影が立っていた。)

(三人の会話を耳にしたその人影は。 まるで、どこか重心がずれているかの様に、
不思議な歩幅で。 軽く、流れる様に、三人の前に歩み出た。)

「あいにくだけど。 大臣さんよぉ。

あんたらの参加する、全体会議などは、お・か・ざ・り。」

「本当の事が語られるのは、その後のよ。 重役の集まる。 本会議だけさ。」

「ひっひっ。」

(大臣たちと違い、はるかに若い。 ひょろ長い背丈の男は。 奇妙な口元で笑い。



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