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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter43 『白い色彩』 43-11


『分かりやすい連中だな・・。』

(聖はばかばかしくなり、側に来て微笑む彩を見上げた。)

「おまたせ、聖君。

少しは、皆さんと話せたかしら?」

(聖は、ため息混じりに、黒い天井を見上げた。)

「だいぶ、場は和んだよ。」

「くすくすくすっ。」

(彩は、微笑み。 聖の肩に触れた。)

(赤いネイルの指先が、触れたところから。 不思議な温かさが、聖に届く。)

『・・・。』

「サンプルを持ってきたのか?」

「ええ。」

(彩の、もう片方の、手には。 分厚い資料と共に。 小さなガラスの。
シャーレが握られていた。)

(彩のネイルの指先は、おそらく、
先程まで、その中身に。 触れていたのだと、聖には分かった。)

「うまく、サンプルすることが出来たの。」

「難しかったけれどね。」

(赤いネイルの指先が持つ、ガラスのシャーレは。



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