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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter43 『白い色彩』 43-3


(聖は、呼びかけに。 窓から、初めて視線を外し。
室内をざっと、見渡した。)

(流れる金色の瞳の視線に、重役の一人が声をひそめた。)

「・・何かね?

首相がお尋ねだ。 早く答えないか。」

(室内には、自分をじっと、見つめている黒いスーツに身を包む重役達。
テーブルの奥、
正面に座る首相。

また、黒い柱が並び、黒い石が敷き詰められた床は、冷たく。
色彩を感じさせず。 重苦しい空気を醸し出していた。)

(動かない空気は、室内に居る人々と。 とりわけ中心に居る人物の
雰囲気を表しているようだった。)

「窓を、開けた方が良いね。」

(聖は、そう言って金色の瞳で軽く笑った。)

『こんな奴らに、夏樹を預けずに済んだのは、正解だ。

まったく、能力者に対する対応は。 前首相と良く似ている。』

(黒い柱の並ぶ、官邸の奥。 広い執務室の中で、その閉ざされた空間は。
黒い壁と、閉じられた窓で遮られ。)

(なぜか、朝でさえも仄暗く感じられ。 入り込む朝日も、陰る様だった。)

「!」

「・・・。」



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