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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter43 『白い色彩』 43-5


(場内の雰囲気は、凍りついていた。)

「(ごくっ・・。)」

(黒い長テーブルを囲む。 FOTプロジェクトの重役達が
息を殺し。 または、眉間にしわを寄せながら。 考え込み、聖と首相の反応を交互に
見ていた。)

「くっくっ。 さぁ。

分からないな。 夏樹の事なら、誰も反対していなかったと思うが?

何しろ、許可を出したのは、あなた自身なのだから。」

(首相をはじめ、重役達。 そして、周囲を黒色に包まれたその場所で。
真っ白なスーツの聖は。 驚くほど異質で、目立っていた。)

「しかし。 むしろ、初めからそうすべきだったと。

あなたは思うと思うよ? 僕が、研究所の彩君に依頼したデータをこれから見ればね。」

(聖は、金色の瞳で、首相を見つめ返した。)

(反省を見せない聖の態度に、重役の一人は、苛立った。)

「なっ・・何をっ?」

(しかし、首相は、少しも表情を変えなかった。)

「・・ふむ。」

「警戒レベルの高い能力者を。 私の許可無しに、監視下から外しただけでなく、

自由に彩にデータを取らせたのか?

なるほど・・。」



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