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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter44 『相容れぬもの』 44-15


「・・当然の事だろうが・・。」

(苛立つ重役達は、聖に何か言い返そうと向き直ったが、
それ以上、誰も言い返せる者は居なかった。)

「我々は、国民の為を思い・・。」

「お前たち、能力者との協力の元、このプロジェクトを進めるのだから。」

(聖の、輝く様な金色の瞳が。 黒い室内で、自分たちを見つめ。
強い光を放っていた。)

「・・・。」

(息を飲む、重役達の前で、
流れるように美しい銀の前髪の奥、金色の瞳が鋭く光る。)

「くっくっ。 本当にそうかい?」

(そこに居る重役の誰もが。 果たして聖は、自分たちの手中にある人物なのだろうかと
常に疑っていた。)

(それは、首相も例外では無かったが。 聖を側に置かねばならない理由がある事も
事実だった。)

「もちろんよ。 聖君。」

(彩は頷き、首相の方を見つめ。 首相は、答えた。)

「恩恵は、全ての者にもたらされる。 ・・彩。 報告は以上か?」

「ええ。」

(お互いが、相容れぬ者でありながら。 欠片を集めるという目的の為に、
この奇妙な均衡は、今も保たれていた。)



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