HOMENovel

Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter45 『空席』 45-5


「で、どこにいるの?

引っ越して来たっていう、男の子は?」

(佐織の問いかけに、紫苑ははっとした。)

「あ・・、うん。」

(そっけない返事に、佐織はきょとんとした。)

「うん。って、紫苑のアパートに引っ越して来たんでしょう?」

「一緒に来るのかと思って、楽しみにして来たのに〜。」

「紫苑を置いて先に行ったの? 冷たいやつね。

やっぱり、静乃先生が言うくらいだから。

気難しい子に違いないわ。」

(二人は、目の前の高校校舎に向かいながら、肩を並べて歩いた。)

「くすくすっ。 そんなことないよ。

わたしが先に来ちゃったの。」

「何か、用事があったみたいで・・。」

(佐織は、怪訝な顔をして紫苑を見つめた。)

「用事ったって、もう学校始まっちゃうわよ?」

「はぁ〜ん、バイト先で呼び出されたのね! きっと、苦労してるんだわ・・。」



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ