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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】
Chapter46 『見えない敵』 46-3
トッ・・トッ
(夏樹は、意識を集中させながら、
ゆっくりと。 まるで、視界の先が、蜃気楼の様に。
不思議な。 重苦しい圧力に僅かに歪み始めた、風見通り入口を見つめた。)
ザワザワザワッ
「・・あんれ、まぁ・・。
こっちだったかねぇ・・?」
(少しずつ、歩き近づく。 風見通り入口に、小さな、かわいらしいおばあさんが
立っているのが見えた。)
「何だい、ばあちゃん。
道に迷ったのかい?」
(遠く歪み始めた視線の先で、街行く男性が、おばあさんに話し掛けて居た。)
「おや、まぁ・・、すまないねぇ。
三丁目のお茶屋さんには、どう行くんだったかねぇ?」
「ああ。 それなら、この道を左に行ってなぁ・・。」
(親切な男性は、おばあさんに身振りを交えて、
道を説明し出した。)
トットッ
(夏樹は、二人に、静かに視線の先を合わせながら。
風見通り中心の、銀杏並木の中ほどから。 徐々に、二人に近づいた。)
ピッ・・
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