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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter46 『見えない敵』 46-9


(しかし、夏樹の居る前方から、不思議な重力が流れ出し、
菖蒲の黒い燕尾服の足元を、捕えた。)

「あっ・・!」

(前方から巻き起こる、強い圧力に。 菖蒲は両腕で顔を覆った。)

『!』

(菖蒲は、自分は。 『一般人』の方に、含まれると、
気を抜いていた。)

(だが、菖蒲の襟元に、FOT No.0-3と刻まれた小さなピンバッジが煌めいていた。)

(広域結界が完成した風見市内の結界は、呼び寄せた夏樹を中心に、
広い範囲で、別空間へと。 あっと言う間に、近づいた菖蒲を掴み取り、引き込んだ。)

***

シュンッ・・

(銀杏並木の入口には、先程の。 親切な男性だけが、

残されていた。)

(男性は、おばあさんから分かれた次の瞬間。 ふと、思い直し。
もう一度、おばあさんの居た方へ、振り返った。)

「ああ、そうだ、ばあちゃん。

やっぱり、お茶屋なら。 この先の道を一つ戻った方が近・・。」

「あれ?」

「もう、いねぇな。」

「まぁ、いいか。 そう遠くないから。」



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