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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter49 『解けない魔法』 49-1


トットットッ

(夏樹は、FOT本部。 最上階のフロアの廊下を歩いていた。)

(四角くビルの中心にくり抜かれた、吹き抜けのガラス窓が続く先に。
大きな、デザイン性に優れたシャンデリアが幾つも連なっていた。)

(明るい日差しにキラキラと光る。 赤絨毯の廊下の上を、
夏樹は、足早に歩いた。)

(聖の部屋がある最上階には、黒服の執事たちの姿もなく。 静かだった。)

「帰って来た。」

(廊下の突き当たり。 大きな銀の扉の前に、
不思議な重力が流れ出し。 淡い黄色の光が光ったのが見える。)

トットッ

(夏樹は、足を速めながら、扉の前に現れた白いスーツの背中に
呼びかけた。)

「聖!」

トッ

(呼び掛けられた、真っ白なスーツの人物は、扉の前で立ち止ると、
後ろを振り返った。)

(眩い、銀色の長い髪が流れ。 長いストールと白いネクタイが揺れる。 あちこちに
施された金の装飾が派手で、巨大な吹き抜け窓から差し込む光を受け、眩しい程だった。)

(流れる銀髪の奥から、煌めく金色の瞳が。 夏樹を見て一瞬驚き、
嬉しそうに微笑んだ。)

「どうしたの? 夏っちゃん。」



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