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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter49 『解けない魔法』 49-12


(意味深な聖の表情に、夏樹は訝しがった。)

「別に。」

(何やら楽しげな聖に、夏樹は、ズボンのポケットから。
小さな透明に光る、一欠片を取り出し。 手渡した。)

「はい。」

(聖は、時の欠片を夏樹の白い指先から受け取りながら。
指先から、夏樹の冷やりとした、冷たい体温が伝わるのを感じた。)

「・・ありがとう。」

(聖は、扉を出て行く夏樹の後姿を見送った。)

キイッ

カチャカチャ カチャッ・・

カチャンッ・・

(幾重もの鍵が、再び扉を閉ざした。)

(聖は、時の欠片を手に、呟いた。)

「魔法使い・・か?

あるいは、人ならざる者・・か。」

(銀の指輪の光る、聖の指先で。 七色に光を集めながら。
時の欠片は、美しく煌めいた。)

「彼女も・・、そうだったかもしれない。」

(聖は、輝きを確かめるように。 手のひらでそっと、欠片を握りしめた。)



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