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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter49 『解けない魔法』 49-13


「魔法使い・・で、ございましたか?」

(橘は、思いを巡らす聖の側に佇み。 静かに微笑んだ。)

「違うか?」

「僕が触れた罰に・・。」

「こんなに小さな。 欠片に姿を変えて見せた。」

「僕の罪を・・、忘れられない様に。

戒めるには十分だ。」

(聖は、金色の瞳を歪め。
まるで、独り言のように。 静かに呟いた。)

(流れるように美しい銀髪が、聖の頬を覆い隠した。)

「聖様・・その様なことは・・。」

(橘は、穏やかな声で、聖を宥めた。)

(橘には、聖の胸の中には、唯一つ。 その人の事だけが、あるのだと分かっていた。
橘が、出会ったことのない。 夏樹と良く似ているという。
一人の女性。)

(聖の心を捉えて離さない。 その女性の存在は。
確かに、強い魔法の様に思えた。)

(橘は、時折見せる聖の心の揺らめきを。
ただ傍で、静かに聞いていた。)

「聖様、我々は。 多くの欠片を集めて参りました。」



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