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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter50 『ランチタイム』 50-13


「ああっ! オレも夏っちゃんのが、ほしい〜!」

(数馬が、競う様に、蒲公英の横から。
夏樹のお弁当から、もうひとつの卵焼きを取って食べた。)

「くっくっ。 数馬のに同じの入っているだろ?」

(夏樹は笑った。)

「あっ! これもほしいーっ。 夏っちゃんのが、いいのーっ!」

(数馬は、自分の弁当箱を横に置き、夏樹の方から食べ始めた。)

「ねえ、数馬くん。 この、お花のかたちのにんじんさん、かわいいねぇ。」

(蒲公英も、夏樹のお弁当に夢中だった。)

「ははっ。

まぁ良いよ。 元気が出たなら。」

(夏樹が一口も食べる前に、お弁当は、だいぶ片付いてしまった。)

「ん・・。」

(蒲公英と数馬が、お弁当に夢中になっている間。
夏樹は、ふと背中のガラス扉越し。 廊下から、こちらを見ている視線に気づき、
振り返った。)

カララッ

トットッ

(二人をその場に残し、夏樹は小学校校舎の廊下へ、引き返した。)



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