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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter50 『ランチタイム』 50-5


(さも難しい問題が発生したかの様に、智は、小さな両腕を組み。
しかめつらをしてみせた。)

***

(中庭から離れた、校舎裏の、小さな階段に。
数馬は一人で、腰かけていた。)

サワサワサッ

(明るい中庭を抜けた風が、大きな木々を揺らし。)

(数馬の居る、校舎裏の階段に。 涼しい影を投げかける、巨木たちを揺らした。)

(明るい笑い声のする、日差しの射し込む芝生の中庭から離れたその場所は。
大きな木々からの影で、仄暗く。
まるで、中庭と対照的に、数馬の気持ちをぴったりと表している様だった。)

「ぜったいだって・・、いったのにっ。」

「夏っちゃんの・・ばか〜っ。」

(数馬は、完全にふてくされながら、持って来た。 千波のお手製弁当も
食べる気になれずに、頬づえをつき。 足元の地面を見つめていた。)

「ばかっ・・、ばかっ・・。」

(数馬は、さきほどから幾度呟いたか分からない不満を、
つぶやくたび。 どうしてかわからない寂しさが、胸に込み上げた。)

「おやしきを出たって、千波っちが言ってた・・。」

「オレに、ないしょで〜っ!!」

(数馬は、その場で、足をバタバタさせた。)



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