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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter50 『ランチタイム』 50-7


「数馬くんっ!

さがしたんだよっ。」

(蒲公英は、笑顔で、数馬の隣に腰を下ろした。)

「!」

(数馬は、慌てて泣きやむと。 帽子をますます深くかぶり。
蒲公英の座った反対方向へ、ぐいっと顔を背けた。)

「・・っ! なんだよっ。 たんぽぽっ。」

「ともだちになったからって、ず〜っと、くっついてくんなって。」

(数馬は、あわてて涙をぬぐった。)

(蒲公英は、数馬の様子を気にせず。 そっと、ハンカチを膝の上に広げ。
数馬の隣で、お弁当を食べる準備をはじめた。)

「数馬くんっ。 たんぽぽ、さくらんぼもって来たから、あげるね〜っ。」

(いそいそと、弁当のふたを開け始めた蒲公英に、数馬は思わず振り向いた。)

「・・・。 きいてないだろっ、ちびっ。」

「たんぽぽはね。」

「たんぽぽは、数馬くんと、いっしょにいるっ。」

(数馬は、まだ涙の残る瞳で、瞬きした。)

「たんぽぽだって、つよいよっ。 あのね、おばけと虫と〜・・、おるすばんはっ

にがてなの〜っ・・。 でもっ、数馬くんを守ってあげるっ。」



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