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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter50 『ランチタイム』 50-9


(数馬は、両手で、まるで何かをこねて、丸める様な仕草を大げさにして見せた。)

カララッ

「・・どうしてやるって?

数馬?」

(背後のガラス扉が再び開き、後ろから聞こえた声に。
数馬は、ドキッとした。)

(そこには、風見ヶ丘高校の制服に身を包む。 夏樹が立って居た。)

(透き通る程透明な白い肌に、深い紺色の少しくせづいた髪が、鮮やかで。
数馬に微笑む、深い紺色の瞳は。 落ち着き、穏やかで、数馬の心を安心させた。)

「!

わぁ〜っ! 夏っちゃん〜!」

(数馬は、振り向くなり。 夏樹の足元にしがみ付いた。)

「わっ・・、何だよ数馬。」

「そんなに長い間、会ってなかったか?」

(夏樹は、数馬の頭を帽子の上から撫でた。)

(仄暗い、木陰の下に居ながら。 そこは、どこか不思議な温かな気配に
包まれた気がした。)

(撫でる夏樹の指先から伝わる、体温の冷たさが、なぜか数馬の心を温かくした。)

「ううっ。 闇がでたから、来ないかと思ったんだも・・。」



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