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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】
Chapter51 『サプライズ』 51-11
「・・っ。」
(夏樹は動揺し、また、駆が知らずに掴んでいる手に力を込めたので、
まだ癒えない左腕の傷が痛み。
思わず、左腕を引いた。)
「・・っ、放してくれ。」
(夏樹は、なるべく。 それ以上駆の顔を見ない様にして、
急いで席に腰かけた。)
「お・・、おいおい。
なんだよ〜。 みんなを無視すんなって。
なんか答えてくれたって、いいだろ〜?」
(駆は、怒ってはいなかった。
ただ、夏樹に興味を引かれ、後ろの席から、夏樹の背中を覗き込んだ。)
「・・。」
(夏樹は、駆に振り返らず。 前を向いたまま。
静かに答えた。)
「・・彼女はいないよ。
それに、困ったことは特にないから。
あと、顔色が悪いのは生まれつきだ。」
(一度は無視しておきながら、律儀に答えた夏樹の。
前を向いたままの、細い背中を見つめながら。
駆は思わず笑った。)
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