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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter52 『サボる』 52-10


『休憩時間終わりまで、あと5分・・。』

「んんっ・・。」

「・・・。 戻れるわけないよ。」

(白い左腕にとめた、黒い腕時計の文字盤には、
現在の時刻と共に。 強く光りはじめた、1点の赤い光の点滅が映し出されていた。)

(夏樹は文字盤を確認し、1点の他にも、
いくつかの点が、赤く灯りはじめたのを見つめ。 ため息をつき、天井を見上げた。)

『ごめんね。 千波ちゃん。 サボる。』

『本当は、少しでも。 普通の人たちと、側に居られる時間が

嬉しい。』

『でも、僕にとっては、こっちの方が大事だ。』

「さて・・。」

「よし。」

「まずは、君か。」

(紺色の瞳が、次のターゲットを捉えた。)

(一人の三年生らしい少女が、階段上部から。 ゆっくりと。 2階へ降り立った。
少女は、足元から。 不思議な気配に包まれていた。)

トクンッ トクンッ・・

(足先から湧き起こる、黒い煙が。 次第に、少女の茶色のプリーツのスカートを揺らし。
茶色のベストから、少女の頭上まで。 広がりはじめていた。)



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