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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter53 『ありがと。』 53-3


「なんだ、もう彩さん。 欠片を持ってくる様に頼んだの?」

(剛の側に寄りながら、豪快な笑顔を見上げた。)

「はっはっ。 違うぜ。」

「頼まれたのは、こっちだ。」

(剛は、夏樹と並ぶと、あまりに大柄で筋肉質でたくましく見えた。)

(短く刈られた乱れた茶色の髪に、軍人の様な服を身にまとった様子は、荒々しく、粗雑に見えたが。)

(夏樹を見下ろす、その笑顔は優しげだった。)

「姉ちゃんから、届け物にな。」

(剛が、たくましい腕で、背後に開いたままの。 空間扉を示したので、
夏樹は、首を傾げ。 良く見ると。 厚い剛の身体の後ろに山の様に積み上げられた。
かなりの数の段ボールがあった。)

「・・! 僕の部屋の荷物・・?」

「こんなにあったかな?」

「わっはっはっ。」

(剛は、笑った。)

「ねぇぜ。 ほとんどは、千波のだ。」

(夏樹は、目が点になった。)

「・・! 千波ちゃん・・。 これじゃ、僕と一緒に引っ越してくる様な

ものじゃないか。」



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