HOMENovel
Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】
Chapter53 『ありがと。』 53-5
「うん。 ありがと。」
(夏樹は笑った。)
「おっと、数馬のことなら、心配いらねーぜ。」
「闇が出たわけじゃねぇ。
好きで授業さぼってるだけだかんな。」
「ははっ。 わかった。」
(剛は、夏樹に背を向け、豪快に手を振った。)
「ごくろうさん。
夏樹が拾った欠片で、この近辺は反応なしだ。」
「静乃が戻って来いってよ。」
(淡い黄色の光の扉の中に、去っていく。 手を振る剛のたくましい腕が、
再び、幾つもの積み上げられた段ボールを。 まるでスポンジを持ち上げるかの様に
軽やかに重ね拾い上げた。)
「剛、聖に持って行ってもらったら良いのに。
それに、あんまり千波ちゃんのお願いとか・・聖の言う通りにしなくて良いよ?」
「FOT専属、運び屋みたいになってない?」
(空間通路の向こう。 尋常ではない量の荷物を片手に抱えた剛に、
夏樹がアドバイスした。)
「わっはっはっ! 聖はともかく! 千波と姫の頼みは断れんからなぁ。」
『 次ページへ 』 『 前ページへ 』