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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter53 『ありがと。』 53-8


「は〜い。 みんな。

帰りのホームルームを始めましょう。」

(静乃が笑顔で、教壇に立った。)

「さて、今日の連絡事項は・・。」

(静乃が説明をする間。
紫苑は、静かに、左隣に座る。 夏樹をそっと、躊躇いがちに横目で見つめた。)

「・・夏樹くん?」

(紫苑は、小声で、思い切って呼び掛けてみた。)

(夏樹は答えず、静乃の方も見ずに。 頬づえをついて。 うつむき気味に、
窓の外を見つめていた。)

「・・・。」

『はじめは、あいつは何をしているんだろうと。 興味を持たれても・・。』

『時間がたてば、ただの変なやつだと。 思われるだけだ。』

『闇が落ち着けば・・、この街も出て行く・・。』

『ほんのわずかの。 間だけだから。』

『僕たちが、ここに居られるのは・・。』

(夏樹は、窓の外の、暮れかけた空を静かに見ていた。)

(街のどこかで、闇が動き、メンバーが居るのではないかと思いながら。)

(紫苑は、何も言わない夏樹の様子を、静かに見つめた。)



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