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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter54 『夕暮れの風見ヶ丘』 54-11


「・・じゃぁ、少しだけ。」

(夏樹は、諦め気味に、頷いた。)

『なんだか、この勢いには負ける。』

「菖蒲のこと、言えないな・・。」

(囁いた夏樹に、紫苑が気付いた。)

「そうだ、菖蒲さんは?」

「学校の時は、どうしてるの?」

(問いかけに、夏樹が答えた。)

「ん?」

「たぶん。 屋敷に居るよ。」

「呼べばすぐに来てくれるけど。」

「じゃぁ、菖蒲さんも誘おう?」

「あ。 ああ、そうだな。」

(夏樹は、通信機を取り出した。)

ピッ・・

(少し離れた、歩道の脇から。
二人の様子を見つめていた、佐織とチイが。
顔を見合わせていた。)

「何話してるか、聞こえないけど。 なんか楽しそうじゃない?」



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