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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter54 『夕暮れの風見ヶ丘』 54-5


(紫苑は、早足で遠くなる夏樹を。
後ろから追いかけた。)

『夏樹くん・・。 またお仕事に行くのかな・・?』

『でも・・。 今朝から忙しそうだったし・・。』

『無理してないと良いけど・・。』

「夏樹くんっ。」

(紫苑は、後ろから呼び掛けたが。
夏樹には、声が届いていないのか。)

(どんどんと、校門を出て、風見ヶ丘の。
見晴らしの良い、歩道へ。 進んでいた。)

サァァァーッ

(丘の下から吹き上げる風が。
夏樹の、紺色のネクタイを揺らし。)

(走って追いかけて行く。
紫苑の、かわいらしい茶色のプリーツのスカートの裾をひらひらと靡かせた。)

トットッ

カタンカターンッ カタンカターンッ

(丁度その時、丘の脇の線路を通過した電車の音が。 辺りに響き渡った。)

トッ

(夕暮れが近付く、歩道の上で、夏樹は足を止め。
紫苑に振り返った。)



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