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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter54 『夕暮れの風見ヶ丘』 54-6


「・・あっ。」

(夏樹が止まってくれたことに、微笑みかけた紫苑に。
夏樹は、小さくつぶやいた。)

「あんまり・・、クラスで僕に話しかけない方が良いよ。」

(紫苑は少し驚き。 まだ、距離のある立ち止まった夏樹の方へ、
ゆっくりと、歩き。 近づいた。)

「・・どうして?」

(紫苑には、夏樹が、どこか悲しげにも見えた。)

「どうしてって・・。 紫苑さんも、変なやつだと、

思われるよ。」

「これを持っていたからといって。 何か良い事があるわけじゃないんだから。」

(夏樹は、近づいた紫苑の胸元に。 留められている小さな片羽根のピンバッジを
白い指先で、指さした。)

カチャッ・・

(紫苑は、小さなピンバッジのFriendの文字に、触れた。)

(二人は再び歩き出しながら、
校舎前の角を曲がり。 夕暮れの道を、下りはじめた。)

「・・そうかな?」

「わたしは、良い事あるって、思うよ。」

(紫苑は、校舎から離れたことで、少し気を許した夏樹の隣を、並んで歩き。)



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