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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter54 『夕暮れの風見ヶ丘』 54-9


「ほんとのこと言えないのって・・。」

「心に良くないと思う。」

(紫苑が何やら、考え出した様子なので、夏樹は戸惑った。)

「ほんとのことって・・。」

「紫苑さん。

機密組織なんだから・・、言う訳にはいかないよ。」

「だいたい、言ったところで。

能力者なんて、魔法使いと同じくらい信憑性がなくて。 信じてもらえない事情だ。」

「紫苑さんは、その・・。 特別な事情があったから、

それで。」

「夏樹くんっ!」

(紫苑は何やら、両手に力を込め。
夏樹に向かい、明るい大きな茶色の瞳をキラキラさせながら。
突然、夏樹の手をとった。)

「わっ・・!」

(夏樹は思わず身構え、どぎまぎした。)

「な・・何?///」

(冷たいであろう夏樹の手を、紫苑は、きゅっとにぎっていた。)

「何かあったら、ううん。 何でも。



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