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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter55 『時の流れ』 55-12


〈「艶なりに、考えている。」〉

「・・晃様。」

(楓は、顔を上げた。)

〈「それに、こうして。

時折、亡霊でも現れてくれれば。」〉

〈「山門も、浄化されるだろう。」〉

〈「・・招かれざる客だろうが。

じきに行く。」〉

〈「それとも、俺を。 通してくれないか。」〉

***

『俺を、拒んでいるのは。』

『楓自身ではないだろうか?』

(晃には、そんな気もしていた。)

『楓と居るはずの僅かな時間を。

時宗は俺と過ごした。』

『そして、時が経った今。

現れるのは、俺が敷地に足を踏み入れる日だけだ。』

『そんな事が、許されるはずがない。』



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