HOMENovel

Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter55 『時の流れ』 55-14


シュウッ・・

(楓は、再び。 若く、美しい姿へと。 時を戻した。)

(幾重にも重なる、鮮やかな着物に、漆黒の黒髪が、艶やかに靡く。)

「お待ち申し上げます。」

「晃様・・。」

(楓は、溢れそうな想いを隠す為。 両手をついて、深々と。 半透明の姿の晃に
頭を下げた。)

(鮮やかな着物の上に、長い黒髪が流れ、楓の顔を覆い隠した。)

「わたくしは・・、

嬉しいのでございます。」

「艶様ではなく、晃様ではなく。」

「わたくし自身が・・。 時宗様のお姿を、

拝見したいのでございます。」

(床についた両手は、微かに震えていた。)

〈「楓・・。」〉

(晃は、驚いた。)

「・・時宗様を忘れられず・・。

その座を、艶様にお譲りできなんだは・・。」



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ