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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】
Chapter55 『時の流れ』 55-2
「兄様っ・・、艶じゃ。」
「今、知らせが来たのじゃ! 兄様のところへ、届いたか?」
(艶は、屋敷の2階の廊下の、端から二番目にあるその部屋の。
扉の前で、大きな声を出した。)
(サラサラと流れる整った黒髪が、急停止した艶の、紅潮した頬に流れ。
閉じられた大きなアンティーク扉を見つめる。 大きな丸い漆黒の瞳は。
きらきらと期待に輝いていた。)
***
「・・ん・・。」
(ドアの外に響く声に。 晃は目を開けた。)
(静かに寝がえりを打って、そっと。 時計に目をやる。)
「・・。 ・・さっき寝かしつけたばかりな気がするが。」
『夜は、じきに明けるな。』
トッ
(晃は、ベッドから出て、窓際に歩み寄り。 鍵のかかった窓を開けた。)
ガチャッ・・
「楓か。 心配しなくても良い。 艶を先に、空間通路で送り届ける。
俺は、いつも通り。
歩いて行く。」
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