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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter55 『時の流れ』 55-4


笑顔を見て微笑んだ。)

「くっくっ。 自分の家なんだから、いつでも帰れば良い。 俺と違って、

お前は、翡翠の家に、出入り禁止な訳じゃない。」

(晃は、切れ長の、黒い瞳を揺らした。)

(小学生程の、小さな背丈の艶と並ぶと。 晃の長身はとても目立つ。
上下黒の服に身を包み、長身で長い手足。 切れ長の黒い瞳は、どこか冷たさがあるが。
流れる黒の短い髪が、大胆で繊細な大人の魅力を醸し出していた。)

「知らせは、兄上かっ・・?」

(艶は、晃から離れ。 窓の外に止まる。 一羽の白い鳥に
胸躍らせた。)

「いや、楓だ。」

(晃は、まだ起きたばかりで少しくせづく、短い黒髪の奥の、
瞳を細めた。)

「なんじゃ・・、楓殿か。」

(艶は、鳥の瞳が、緑色でなかったことにがっかりしながらも。 窓際に身を乗り出し。
ぎりぎり届くほどの、窓枠へ、身を寄りかけた。)

「むぅっ。 楓殿っ、期待させるでないわっ。」

「がっかりじゃ。」

〈がっかりとは、何ですか・・? 月に一度しか、婆に会いに来てもくれず。

魑魅魍魎は、屋敷中に押しかけ・・。〉

〈老体に鞭打ち、務めているのでございます。〉



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