HOMENovel

Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter55 『時の流れ』 55-9


時宗様は、現れるのでございます・・。〉

「・・。」

(晃は、ため息をついた。)

「式神だ。」

〈しかしあれは、紛れもなく時宗様のもの。〉

〈晃様・・、それを承知でお越しになるのであれば・・。〉

〈わたくしは・・。〉

「ばかを言うな。」

「俺は、亡霊に会いに行くわけじゃない。」

「今の、あいつに。 会いに行くだけだ。」

(そう言った晃の、切れ長の黒い瞳は。 どこか冷たかったが、とても落ち着いていた。)

(楓は、白い鳥の緋色の瞳を通して。 晃の、冷静な。 表情を見た。)

「ただの式神だ。」

(晃は、静かに繰り返した。)

***

「あの子は・・、そう割り切れてはおりません。」

「艶は・・。」

「貴方ほど、強くはないのです。」



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ