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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter57 『雨音』 57-14


お部屋がぬれちゃうでしょう・・?」

(紫苑は何やら、膝の上に。 黒い小さなネコを抱き。
時折子ネコが、小さな体を振るわせ、雨の水滴を
辺りに飛ばすのと。 もぞもぞと動きくすぐったい事とに。 頬を赤らめ格闘していた。)

「あ、夏樹くん。

お帰りなさい。」

「お話終わった?」

「千波ちゃん、先に帰っちゃったね。」

(大きな茶色の瞳に、ピンクに色づく頬。 明るい笑顔に、長い明るいベージュ色の髪が
目の前でさらさらと軽やかになびき。)

(段違いにカットされた両脇の髪が、小さな色付く頬を覆っている。)

「あ、ああ・・。」

(紫苑の笑顔に、夏樹は瞬きした。)

(部屋に居た紫苑を見ただけで、夏樹の気持ちは和らいだ。)

トットッ

「ふっ。 その子ネコ?」

「紫苑さんが探していたのって。」

(夏樹は、微笑みながら。 まだ片付いていない小さなトランクから、
手近なタオルを取り出し。 紫苑に差し出した。)

「うん!」



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