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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter57 『雨音』 57-16


「くすくすっ。 初めて会ったから、ちょっとおどろいただけだよ。」

「ね。 クロ。」

「そうか?」

「紫苑さん、そこ冷たいだろう? 気にしないで座っていいよ。」

(夏樹は微笑み、紫苑の背中のソファーを指さした。
紫苑は、ソファー前の床にクッションを敷き。 小さなテーブルを前にして、
ちょこんと座っていた。)

「あはっ、ごめんなさいっ。 この方が落ち着くの。

自分のお部屋でそうだから。」

「ああ、そうか。」

(言いながら、夏樹は部屋にある。 小さなキッチンへ向かった。)

「ネコ、ミルクでも飲むかな?」

ガチャッ・・

「温めなくても平気かな?」

(夏樹は、小さな冷蔵庫を開けた。)

「夏樹くん。」

(紫苑は、手元に抱くクロを見つめながら。 声をかけた。)

「ん?」

(夏樹は、冷蔵庫の方へ向き。 受け皿に注ぐ、手元のミルクに視線を向けたまま。



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