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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】
Chapter57 『雨音』 57-17
気軽に返事した。)
「こんな雨の日って、あの怖い生き物のことを
思い出すね?」
(その言葉に、注ぎ終わったミルクを持つ手が一瞬止まり。 少し躊躇った後、
夏樹は、冷蔵庫のドアを閉めた。)
ザーッ
(雨は、降り続いていた。)
トットッ
「まるで厚い雲から、こぼれ落ちて来たみたいで・・。」
(小さなキッチンから、夏樹が室内へ戻る間。
紫苑は、夏樹の方を見ずに。 ただ小さな机の前を向き。 きゅっと、小さなクロを
胸に抱いて。 そっとつぶやき、不安そうな顔をしていた。)
トサッ
(夏樹は、そんな紫苑の目の前に腰かけた。)
「あ・・っ。」
(紫苑は、急に目の前に来た夏樹に驚き。 顔を上げた。)
(間近に見る深い紺色の瞳は。 雲の奥の夜空の様にきらきらと光っていた。)
「明日は晴れるって、天気予報が言っていたね。」
(突然そう言った、紺色の瞳は。 少し困った様に、紫苑の前で揺れた。)
『・・!』
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