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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter57 『雨音』 57-19


(夏樹は言いながら、大きく思い切り背伸びをした。)

「痛たっ・・。」

「忘れてた。」

(怪我をしていたことを忘れ、伸ばした肘を。 夏樹は擦った。)

「ふふっ、大丈夫?」

「夏樹くん、今から、それ読むの?」

(紫苑は、小さな机の上に乗り切れない。 夏樹が先程静乃と話していたらしい、
いくつものFOTの資料を。
床の上に置いたのを見て、瞬きした。)

「こっちは?」

(紫苑は小さな机の上にすでに広がっているノートを指さした。)

「うう〜ん・・。」

(夏樹は、紫苑のノートより先に、床の上の資料から一枚拾い上げた。)

「あれっ! 夏樹くんっ?」

「う〜ん。」

(夏樹は、わざと難しそうな顔をしながら、開いた資料の向こうに隠れた。)

「うふふっ。///」

「ニャァー」

(紫苑の膝から降りたクロが、床に広がる資料に小さな足を滑らせた。)



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