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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter57 『雨音』 57-7


「大丈夫。 彩先生たちが、欠片の仕組みを一生懸命に研究してくれているから。

いつか防げる日はきっと来るわ。」

「そのためにも、わたしたちも頑張らないとね。」

[「ああ。」]

[「そうだね。」]

(夏樹が返事すると同時に、モニターの向こうから、
元気な声が静乃の耳に届いた。)

[「夏樹〜っ。 静乃ちゃんといつまで話してるのよっ。」

[「ん! わっ・・。 びっくりした。」]

(モニターは、夏樹の手の中で揺れた。)

***

「危ないよ、千波ちゃん・・。」

(千波は、夏樹が階段上に腰かけているのも気にせず、
後ろから思い切り抱きつき。 夏樹は通信機を取り落としそうになった。)

(左手で手すりにつかまり。 自分も滑り落ちそうなのを、
なんとか防いだ。)

「何こそこそ話してるのよ?」

(夏樹に背中から抱きつきながら、千波は、良く似た顔立ちの。
弟の顔を覗き込んだ。)

(明るい肌に、短い明るい茶色の髪が、夏樹の目の前で楽しげに揺れる。)



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