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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter57 『雨音』 57-9


(部屋の中では、通信機を片手に出て行った夏樹と、
夏樹を呼びに行った千波の帰りを紫苑が一人待っていた。)

(左手壁際に置かれたソファーではなく。 ソファー前の床にクッションを敷き。
小さなテーブルを前にして、ちょこんと座っている。)

「ああ! ごめん、紫苑ちゃん。

なんか静乃ちゃんと話しこんじゃってるみたいでね。」

「わたしも戻らないといけないから。 あとよろしくっ!v」

「えっ?/// 千波ちゃん、帰るの?」

(一緒に居られると思ったので、楽しみにしていた紫苑は、
ここに居て良いものか。 急に心細くなった。)

「それなら、わたしも・・。」

「明日はお休みだから。

ノートはまた今度でいいもの。」

(紫苑は、そう言って、立ち上がろうとしたが、
千波は持って来た自分の荷物をざっと片づけながら、片手を小さく振って。
そのままでと合図した。)

「少しそばに居てあげて。

雨が降りそうだから。」

(千波は、そう言いながら。 急いで、上着や鞄を拾うと。
去り際紫苑に笑顔を向け、慌ただしく部屋を出て行ってしまった。)

「え?」



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