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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter58 『夢』 58-10


(歪む深い、紺色の瞳の視線の先で。 小さな少女が、幼い夏樹の胸元を、
白い指先で、指し示した。)

【・・時が、来るまで・・。】

(少女の白い指先は、
小さな夏樹の胸元に光る。 銀の指輪を示していた。)

(幼い夏樹の首筋に、黒い細い紐が揺れ、小さな金属音をたてて、
銀色の指輪が煌めいた。)

(光る銀の指輪は、小さな模様が彫られ、とてもシンプルで。
滑らかに優しく輝いている。)

***

『・・聖・・っ!』

(急激に、全身を駆け抜けた恐ろしい感覚に、夏樹はとっさに名を思い浮かべたが。
だが、夏樹には聖の助けを呼ぶ暇がなかった。)

ゴオォォォォーッ!!

「・・!」

(銀の指輪を少女が指し示すのを見た時。 ちょうど、二人の居る辺りから。
それは夏樹の元へ、流れ出した。)

ゴワァァァーッ!

『!!』

(まるで、溶岩の様に闇が吹き出し。 一瞬で、夏樹の視界を奪った。)

(闇の元が噴き出して来たかの様に、黒く厚い。 漆黒の闇が、夏樹を飲み込んだ。)

ザァァァァーッ



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