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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter58 『夢』 58-4


「みんな・・っ。

ぼくがきらいだったから・・! だから・・!

みんな、からしたんだっ、

ぼくがいやだから・・っ、

ぜんぶ、かれればいいって・・。」

(幼い夏樹は、そう言って。 大粒の涙をこぼし泣いた。)

***

『!』

(夏樹は、その場に立ちつくし、ただ雪空の下。 一人涙する幼い自分を前に。
膝をつき。 じっと、その様子を見つめた。)

『枯れる・・?』

『何だろう・・。 何にこんなに苦しんでいるんだろうか?』

「大丈夫か?」

(幼い自分から伝わる、必死な思いは、溢れる様に夏樹に伝わった。)

***

(抱えきれずに涙する幼い夏樹の、白い頬に。
触れられるはずもなかったが。 夏樹はそっと、白い指先を伸ばした。)

「うっ・・。 ひっく・・。」

(夏樹が触れようと、手を伸ばしたその時。 すぐ背後から、誰かが近付く気配がして、
夏樹は驚き、振り返った。)



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