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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter58 『夢』 58-5


サクッ・・

***

「あ!」

(それは、この雪景色の丘に、訪れた時から。 出会えるのではないかと
思っていた人物だった。)

『あの時の、少女だ・・。』

***

【探して・・、いたの?】

(小さな白い素足が。 淡い雪の上に、立っていた。)

フワッ

(白い肌の素足に、揺れる、長い白いレースのワンピース。)

サクッ・・

(柔らかに揺れる、美しいレースの裾が。 重なり合い、裾から淡いグラデーションに、
薄くピンクに色づきながら。
小柄な少女の身体に、花びらの様にしなやかにふわりと揺れる。)

***

(冷たさも気にせず、雪の上を歩く少女の素足が。 膝をついている夏樹の側に立ち。
すぐそばで、同じように幼い夏樹に向かい。 そっと、膝を折った。)

『今の彼女には、僕が見えていないんだ・・。』

(夏樹は、あの時。 自分を励ましてくれた少女の、どこか自分と似ている横顔を。



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