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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter59 『戦闘服』 59-3


(夏樹は、反対隣りに腰かけている蒲公英に、微笑んだ。)

「えっと・・えっとね。 お絵かきがいい〜。」

(蒲公英は、頬を赤らめながら、間近に覗き込む、深い紺色の優しげな瞳を。
見つめ返した。)

(隣に座ると。 真っ白な夏樹の肌からは、なんだか冷たい空気が側から漂う様な
不思議な気持ちがしたが。 蒲公英は嫌ではなかった。)

「お絵かき?」

「じゃぁ、紫苑さんに何か借りて来ようか?」

「うん!」

(夏樹の笑顔に、蒲公英は、優しい兄が出来た様な気がしていた。)

コンコンッ ガチャッ・・

(ドアをノックする音が聞こえ、二人は振り返った。 数馬はゲームを再開した。)

ピコーンッ

「あ! 紫苑おねえちゃん。」

(蒲公英は立ち上がった。 紫苑の手には、ジュースを注いだコップとお菓子をのせた
トレイがあった。)

「はい。 皆、どうぞ〜。 楽しそうだね。」

(ドアの向こうからエプロン姿の紫苑が現れた。)

(紫苑は、テレビ前に座る3人を見て、嬉しくなり微笑んだ。 夏樹を真ん中に、
蒲公英と数馬が、
ちょこんと座っていた。 数馬はコントローラーを手にしながら、振り向いた。)



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