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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter60 『ターゲット』 60-11


(何かに吸い込まれるかのように、煙と共に、フェルゼンの姿は、
その場から消えた。)

***

「はっ・・。」

(夏樹の部屋で、荷物を片づけていた紫苑は。
突然、何かが気になり。 窓の外を見つめた。)

「・・あれ?」

「曇ってきちゃったみたいだね。」

(紫苑の声に、千波も立ち上がり。 ベランダへ続く、窓の側へ来た。)

「あら。 ほんと。」

「また、降りそうね。」

(そう言いながら、千波は紫苑の隣で微笑んだ。)

(夏樹に良く似たその笑顔に、紫苑はドキッとしながらも、
はっとして。 ドアに向かって走り出した。)

「わたし、ちょっと見てくるねっ。」

「菖蒲さんと一緒だったけど、もし車を降りてたら・・傘持っていなかったと思うから。」

(紫苑は振り返りそう言いながら、部屋を出て行った。)

「あっ、紫苑ちゃんっ!」

「うう〜ん。 異空間の中にいたら、傘届けられるかしらね?v」



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