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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter60 『ターゲット』 60-2


「ふぅ・・。」

『こんなに穏やかな日なのに、纏わりつく様な、闇の気配が、

消えない・・。』

(柔らかな風に、深い紺色の髪が揺れ。 艶やかな前髪の奥で、夏樹の表情は曇った。)

「あそこだ。」

「人通りが多い、待ってはいられないか・・。」

(夏樹は、白い指先で。 腕時計に触れた。)

ピッ

「すぐに、元に戻すからな。」

(紺色の瞳の視線の先には、人波の中で、音楽を聴きながら。
楽しげに歩いている少年が居た。)

(夏樹は、静かに。 自動空間誘導システムを作動させながら。 少年にゆっくりと
近づいた。)

トットッ

(少年は、夏樹が見ていることに気づかず。 曲に耳を傾けながら、
繁華街の込み合う通りを、
人波の中を抜けこちらに向かって来た。)

***

ヒュゥゥゥーッ

(そんな夏樹の様子を、幾つもの流れる空間の向こうから、見つめている視線がある。)



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