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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter60 『ターゲット』 60-8


宙へ舞い上がった。)

「よし。 良いぞ。」

コオッ

ズッ・・

【ギャァァァーッ!】

(夏樹は、白い腕に。 強い風を纏い、背後から地上の闇の元へ舞い降りると。
素早く、闇の黒い背中の辺りに腕を差し込んだ。)

ジュルルッ・・

(流動する闇の身体が千切れ、舞い散る黒い液が、紺色の瞳の視界を奪ったが。
夏樹は、目を逸らさず。 白い右手に、闇の中で光る。 時の欠片を掴んだ。)

キンッ

バシャッ・・

ビシャッ・・ドロロッ

「はぁ・・っ。」

(夏樹が腕を引き抜くと。 闇は最後の吠え声と共に、背中から溶け。
地面に崩れた。)

「・・良し。 この辺りは、これで最後か・・。」

(夏樹はほっとして、息を整えながら。
手のひらの中に握った。 欠片を見つめた。)

(白い手を覆う、黒い闇の飛沫は。 次第に透明に変わり。 水滴となって、
手のひらの中の、まるでダイヤモンドの様な欠片を煌めかせた。)



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