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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter61 『力になるもの』 61-10


「そうだ・・。」

「お前に・・触れる事も・・、出来る。」

(フェルゼンはニヤリと笑い、血走る様な赤い瞳を見開いた。)

ゴオッ・・!

(マントの下の鋭い爪の左腕で、フェルゼンは何かを掴む仕草をした。)

***

ゴォォォッ・・

「・・! きゃっ・・。」

(振り向いた紫苑は、突然首元を、まるで何かに掴まれた様な苦しさに襲われた。)

『・・んっ!』

シュンッ

(紫苑は慌てて、自分を掴む、見えない腕を。 息の詰まる首から離そうと、
両手で掴んだが。 紫苑は強い腕に、そして前方から眩い光を纏い、現れた
深紫の魔法陣の中へ。
そのまま引き込まれた。)

ポンッ トサッ・・

(開かれた白い傘が舞い。 大きな青い傘が、歩道に落ちた。)

***

「少しの間、腕を貸せ・・。 欠片を・・奪うまでの間だ・・。」

「汚らしいあいつに・・直に触れなくて良いのは。 幸いだ・・。」



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