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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter61 『力になるもの』 61-11


(声は、紫苑の耳元で響いた。)

(FOTの誰でもない。 聞き覚えの無い、冷たい声だ。)

(紫苑は、静かな、不思議な場所に引き込まれ。
深紫の光る小さな二つの魔法陣に、腕を捕えられていた。)

(よく見ると、そこは空中に浮かぶ、ガラスの箱の中で。 紫苑は、繁華街らしき
上空に浮かんでいた。)

「はっ! 夏樹くんっ!」

***

『この気配・・。』

『初めて、紫苑さんに出会った時と同じだ。』

(紫苑が、眼下の夏樹に気づいた時。 それまでその場に硬直し。
立ち止まっていた夏樹を、何かが動かした。)

「はっ・・。」

(夏樹の目に、紫苑が思い浮かんだ。)

ザーッ

「《闇の力を秘めし鍵》《解き放て》《風の波動》」

(雨音の向こうから、以前見たのとは数倍も大きい。 巨大な深紫の魔法陣が現れた。)

「今すぐ、消えろよっ! 屑がっ・・!」

ゴワッ・・



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