HOMENovel

Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter61 『力になるもの』 61-15


「闇の、息の根を止めるのは・・。」

(フェルゼンは、背後から夏樹に近づいた。)

(冷たい気配が、背後にある。)

「俺が・・お前の息の根を止めてやるよ。」

「じっくりと・・なぁ・・。」

(夏樹にはその声が聞こえなかった。 その姿も見えない。 しかし、
背後から迫る気配は、ぴたりと。 動けない夏樹の背中に、触れるほど寄り添い
立ち止まった。)

トクンッ

(振り返れない夏樹にその姿は見えなかったが、たとえ振り返れたとしても。
透明なその姿は実体を持たずに。 見ることは出来なかった。)

「その腕・・もぎ取ってやろうか?」

「なぁ・・?」

(フェルゼンは、魔法陣を再び輝かせ。 夏樹の左腕を捕えている魔法の風に、
力を与えた。)

ヒュウッ

「・・痛っ・・。」

(風は、左腕を強く締めつけた。)

(夏樹は傷が疼く痛みに顔を歪めたが、風は、それ以上危害を加えなかった。)

『・・っ、手加減したつもりか?』



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ