HOMENovel

Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter61 『力になるもの』 61-18


「・・連れて行ってくれ。」

(そして、そっと。 輝く欠片を握っている紫苑の右手に、合図した。)

「落とさないように、しっかり握って。」

***

「!」

「うんっ!」

(状況がつかめずに混乱していた紫苑だが、右手に感じた破片の感覚と。
両手に伝わる、雨に濡れただけではない、触れた事のある冷たい感覚が。
自分の手の先が、見えずとも。
夏樹に触れた事を教えていた。)

キュッ

(紫苑は、右手に力を込め。 時の欠片を握りしめた。)

***

「・・、何をする・・!」

「離せ・・!!」

フワッ

「・・チッ! 餓鬼が・・!」

(夏樹に近づきすぎたフェルゼンは、異変を避ける間がなかった。)

(夏樹は突然、風の呪縛を解くと、背後に居るフェルゼンに振り返り、
至近距離で、手のひらに掴んだ僅かな風を放った。)



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ