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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter61 『力になるもの』 61-19


コオッ・・

(しかし、僅かに見えた風は、瞬時に強い爆風となり。 油断したフェルゼンを
怯ませ、一時の間後方へ追いやる。)

ゴォォォォーンッ!

「・・・っ」

(フェルゼンを怯ませたのは、不意をついたからではない。 欠片に気を
取られていたからでもなかった。)

***

***

コォォォォーッ

(それはまるで、スローモーションのように見えた。)

(呪縛から解き放たれる瞬間、ゆっくりと振り返り、至近距離で深い紺色の瞳が
見つめる。)

(見えている筈がなかったが、紺色の瞳は。 フェルゼンを真正面から見つめ。
舞い上がる風に舞う、紺色の髪の奥で、煌めき。 透き通る程白い肌の口元が、
僅かに微笑んだ。)

(夜空の様な瞳は、フェルゼンの前で微笑んでいた。)

***

***

『・・深い紺色の目・・。 あいつが・・、望んだもの・・。』

「・・この下衆がっ・・! 俺の前から・・、



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