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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter61 『力になるもの』 61-7


『幸い、菖蒲に連絡した。 早く戻らないと。』

『心配する。』

(夏樹は、気持ちを落ち着かせようと、耳に残る声を思い浮かべた。)

ドクンッ

(異空間は、まるで次第に距離を狭めるかのように、出口を閉ざしている。)

ザーッ

““言う事を聞けば、ここから出られる””

““それとも、死ぬか?””

ザーッ

「・・・!」

(夏樹の脳裏に、恐ろしい影が過ぎった。 それは、幼い記憶の片隅に残る、
途切れ途切れの記憶。 記憶の断片は、雨に滲み出る様に、瞼の奥に突如滲み出し。
奮い立とうとする夏樹の心を急激に圧迫した。)

ドクンッ

「はぁ・・っ。」

(雨の中、夏樹は息を飲み。 その場に立ち尽くした。)

ザーッ

ピチャンッ

(足音が止まる。)



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