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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter62 『似ている』 62-12


「ずいぶん、余裕だな。」

「何の手掛かりもない。」

「夏樹が、二度も襲われた・・。 また来るに違いない。」

(晃の細い切れ長の瞳は、冷たく聖を睨んだ。)

『もう少し、心配したらどうなんだ?』

「それなのに、随分と楽しそうだな?」

(聖は、晃の言葉が、さも意外そうに驚き立ち止った。)

「そうかな? 晃君。」

「僕は、心から夏っちゃんを心配しているよ。」

(足を止めた聖の真っ白なスーツの肩に、サラサラと鮮やかな銀髪が流れる。)

(晃も立ち止まり、眩い輝きを放つ金色の目が、直視できないくらいに煌めきながら、
微笑むのを見た。)

「・・俺には、お前が。 楽しんでいる様にしか見えない。」

(晃の黒い瞳が、聖の目を見据えた。)

「・・放っておけば、笑い事では済まなくなる。」

(晃が、真剣な表情を浮かべていたので、聖は。 金色の瞳で瞬いた後、
辺りの光を集めるほどの輝く笑顔で、晃に微笑んだ。)

「晃君。」

「僕が、夏っちゃんに怪我をさせた相手を。



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