HOMENovel
Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】
Chapter62 『似ている』 62-14
「ただ、僕が送り込んだ空間に、潰されずに帰れたかどうかは、
知らないな。」
「くすくすくすっ。」
(淡い黄色の光の中に、笑みを残して。 立ち止まったままの晃の側から、
聖は歩き出した。)
***
***
「・・くっ・・。
はぁっ・・はぁっ・・。」
バリンッ
「チッ・・。 人間風情が・・っ・・。」
「・・俺に・・触れやがって・・っ!」
(フェルゼンは、乱れた深紫のマントを翻し、大きく肩で息をした。)
ガララッ
(辛くも聖の創り出した異空間の狭間を逃れ、フェルゼンは、異界との境界に
創り出した隠れ家へ。 戻り付いた。)
「・・ふぅ・・。」
(奇妙な形の、深紫の靴が。 苛立たしく、鳴り。 透き通る。
氷が敷き詰められた様な床の上を踏みしめた。)
『 次ページへ 』 『 前ページへ 』